その他資料

海軍服装令

第一章　服装ノ種類及各種服装ヲ用ウル場合

第一条

海軍軍人ノ服装ハ左ノ五種トス但シ候補生及生徒ハ第一号及第二号ヲ缺キ見習尉官、下士官及兵（軍楽兵曹及軍楽兵ヲ除ク）ハ第一号、第二号及第三号ヲ缺キ軍楽兵曹及軍楽兵ハ第一号及第三号ヲ缺ク

正装
礼装
通常礼装
軍装
略装

第二条

正装ヲ為スヘキ場合概左ノ如シ

新年拝賀参賀、紀元節参賀参拝、天長節参賀若ハ明治節参賀ノトキ又ハ此等ノ日艦船部隊学校等ニ於テ遥拝式ヲ行フトキ
特ニ拝謁ノ為参内スルトキ又ハ賢所参拝ノトキ
新年宴会、紀元節宴会、天長節宴会若ハ明治節宴会ニ召サレ参内スルトキ又ハ此等ノ日賜饌ニ列スルトキ
宮中ニ於ケル勲章賜授ノ式ノ為参内スルトキ
臨御ノ観艦式（大演習観艦式ヲ除ク）ニ参列シ又ハ之ヲ陪観スルトキ
臨御ノ観兵式ニ出場シ又ハ之ヲ陪観スルトキ
臨御ノ帝国議会開院式ニ参列シ又ハ之ヲ陪観スルトキ
祭日ニ参内参拝スルトキ
靖国神社大祭ニ参拝スルトキ（隊伍ヲ編成シ参拝スルトキヲ除ク）
賢所御神楽ニ参列スルトキ
海軍葬儀ニ於テ喪主タルトキ
其ノ他一般ニ大礼服ヲ著用スルトキ

前項ノ規定ニ依ル場合ノ外自己ノ婚儀又ハ父母祖父母ノ葬儀ニハ正装ヲ為スコトヲ得

第三条

礼装ヲ為スベキ場合概ネ左ノ如シ

任官補職ノ辞令書ヲ受クル為参内スルトキ
宮中晩餐又ハ皇族ノ晩餐ニ陪スルトキ但シ正袴及正剣帯ヲ用フ
天長節又ハ之ニ準ズベキ場合ニ於ケル夜会ニ出席スルトキ但シ正袴及正剣帯ヲ用フ
臨御ノ式場ニ参列スルトキ
削除
削除
削除
勲章授与ノ式（宮中ニ於ケル場合ヲ除ク）ニ於テ伝達者、受章者又ハ班列者タルトキ
重立チタル晩餐ニ出席スルトキ
海軍指揮官外国ノ軍艦又ハ外国ノ重立チタル文武官公吏等ヲ訪問シ又ハ回訪スルトキ
訪問使外国軍艦ヲ訪問スルトキ
其ノ他一般ニ通常礼服ヲ著用スルトキ

准士官以上正装ヲ為スヘキ場合ニ於テハ軍楽兵曹及軍楽兵ハ礼装ヲ為スヘシ
前二項ノ規定ニ依ル場合ノ外自家又ハ親族ノ賀儀又ハ葬祭ニハ礼装ヲ為スコトヲ得

第四条

通常礼装ヲ為スヘキ場合概左ノ如シ

艦船部隊学校等ニ於テ一月一日、紀元節、天長節又ハ明治節ニ会スルトキ
前号以外ノ祭日、祝日又ハ之ニ準ズベキ日ニ於テ遥拝式ヲ行フトキ
宮中ノ午餐又ハ観桜観菊ノ御宴ニ陪スルトキ
御座所拝謁ノ為参内スルトキ
天機伺ノ為、敍位ノ辞令書ヲ受クル為又ハ任官敍位叙勲其ノ他ノ御礼ノ為参内スルトキ
歳末其ノ他ノ御祝詞ノ為参内スルトキ
行幸ノ際奉送又ハ奉迎ヲ為ストキ
臨御ノ場所ニ参会スルトキ
皇族ノ午餐ニ陪スルトキ
進水式、証書褒状等ノ授与式又ハ卒業式ニ参会スルトキ
宮中大祓ニ参列スルトキ
天皇ニ対スル儀仗トシテ勤務スルトキ
海軍葬儀ニ於テ幹事、陪柩者、勲章捧持者又ハ先導タルトキ
分隊点検等ヲ行フトキ但シ場合ニ依リ軍装ヲ為スコトヲ得
就職又ハ退職ノトキ
司令長官司令官艦長司令ノ著任退職、特命検閲使ノ其ノ検閲スヘキ軍隊艦隊所在地著発、海軍大臣元帥タル海軍大将軍令部総長駐剳国ニ於ケル我大使公使ノ公式訪問若ハ勅使侍従武官東宮武官差遣ノ場合ニ其ノ庁又ハ其ノ庁所在地ニ於テ迎送ヲ為ストキ又ハ之ニ準スヘキトキ
削除
政始ニ出庁スルトキ
初テ軍艦旗ヲ掲揚スルトキ又ハ軍艦除籍セラレ軍艦旗ヲ降下スルトキ
削除
外国ノ文武官公吏又ハ駐外外交官領事館ニ対シ訪問又ハ回訪ヲ為ストキ
其ノ他一般ニ通常服ヲ著用スルトキ但シ場合ニ依リ軍装ヲ為スコトヲ得

准士官以上正装又ハ礼装ヲ為スヘキ場合ニ於テハ候補生又ハ生徒ハ通常礼装ヲ為スヘシ
前二項ノ外自家親族又ハ知人ノ賀儀葬祭訪問等ニハ通常礼装ヲ為スコトヲ得

第五条: 軍装ハ正装礼装又ハ通常礼装ヲ為ス場合ヲ除クノ外一般勤務ノトキ之ヲ用ウ
帝国文武官公吏ニ対シ訪問又ハ回訪スル場合ニ於テハ軍装ヲ為スコトヲ得
隊伍ヲ編成シ靖国神社大祭ニ参拝スル場合ニ於テハ軍装ヲ為スヘシ
准士官以上正装又ハ礼装ヲ為スヘキ場合ニ於テハ見習尉官、下士官及兵（軍楽兵曹軍楽兵ヲ除ク）ハ軍装ヲ為スヘシ
准士官以上通常礼装ヲ為スヘキ場合ニ於テハ見習尉官、下士官兵ハ軍装ヲ為スヘシ

第六条: 軍装ハ分チテ第一種及第二種トス
第一種軍装ハ夏季以外ニ之ヲ用ヰ第二種軍装ハ夏季ニ之ヲ用ウ

第六条ノ二: 略装ハ戦地又ハ事変地ニ勤務スルトキ及該地ニ往復スルトキ之ヲ著用スルノ外海軍大臣ノ定ムル場合ニ之ヲ著用スルモノトス

第七条: 戦時ニ於テハ正装、礼装又ハ通常礼装ヲ為サザルヲ例トス
事変ノ際直接之ニ関与スル艦船部隊及演習ノ際（演習部隊ノ編制アリタル時ヨリ之ヲ解クニ至ル迄ノ間）之ニ参加スル艦船部隊ニ於ケル服装亦前項ニ準ズ
戦地又ハ事変地ニ於テハ軍装ヲ為サザルコトヲ得

第八条: 海軍各庁ニ公式ノ行啓又ハ皇族ノ差遣アリタル場合ニ於テハ其ノ庁及其ノ庁ニ属スル所在各部ノ勤務者並之ニ参列参会スル者ノ服装ハ総テ臨御ノトキニ準ス

第九条: 同時ニ二様ノ服装ヲ著用スヘキ場合ニ於テハ其ノ重キニ従フヘシ

第九条ノ二: 公務ヲ帯ヒ上官ニ随従スルトキハ特ニ規定アル場合ヲ除クノ外上官ト同様ノ服装ヲ為スヲ例トス

第九条ノ三: 暴風雨ノ時ニハ艦船ニ於テハ第二条乃至第四条ノ規定ニ拘ラズ所在首席指揮官ハ臨時服装ヲ指定スルコトヲ得

第二章　著装法

第十条: 各種服装ノ著用品及之ニ関スル特別規定ハ左表ノ如シ
（表省略）

第十条ノ二: 元帥佩刀ハ元帥タル海軍大将戦時事変ニ際シ出征スルトキ又ハ正装礼装ヲ為ストキ其ノ他宮中ノ儀礼等重立チタル場合ニ於テ佩用スルモノトス此ノ場合ニ於テハ正剣帯、剣帯、長剣又ハ短剣ニ関スル規定ヲ適用セス但シ正装礼装ヲ為ス場合ヲ除クノ外元帥佩刀ニ代ヘ剣帯及長剣又ハ短剣ヲ用ヰルコトヲ得

第十一条: 飾緒ハ将官又ハ参謀官（演習中臨時編成部隊ノ参謀官ハ海軍大臣ノ指定シタル者ニ限ル）副官（第十二条ノ者ニ限ル）若ハ皇族附武官タル佐尉官之ヲ佩用ス但シ将官ニシテ参謀官ニ非サル者ハ正装及礼装（第十条表特別規定ニ依リ夏衣ヲ用ヰル場合ヲ除ク）ニノミ之ヲ佩用ス
飾緒ハ其ノ上端ヲ右肩ニ鉤シ長条ハ背後ヨリ胸部ニ繞ラシ短条ト共ニ正装礼装通常礼装及外套ニ在リテハ右側最上釦ノ位置ニ、軍装ニ在リテハ襟ノ「フツク」ノ位置ニ、略装ニ在リテハ最上釦ノ位置ニ繋ケ其ノ下端ヲ垂ルヘシ

第十二条

其ノ他参謀ヲ置カレタル部隊ノ副官但シ演習中臨時編成部隊ノ副官ニ在リテハ海軍大臣ノ指定スル者ニ限ル

第十二条ノ二: 略式飾緒ノ佩用ニ関シテハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依ル

第十三条: 正剣帯ハ上衣ノ外ニ締ムヘシ
准士官以上ノ剣帯ハ正装礼装又ハ通常礼装ノ場合ニ在リテハ上衣ノ外ニ締メ其ノ他ノ場合ニ在リテハ上衣ノ内ニ締ムヘシ
候補生見習尉官生徒軍楽兵曹及軍楽兵ノ剣帯ハ上衣ノ内ニ締ムヘシ
軍楽兵曹軍楽兵以外ノ下士官及兵剣帯ヲ用ユル場合ニ於テハ上衣ノ外ニ締メ外套又ハ雨衣ヲ著用スルトキハ其ノ外ニ締ムヘシ

第十四条: 長剣ヲ佩用スルトキハ正剣帯又ハ剣帯ノ鉤緒ヲ延ハシタル儘左手ニテ剣柄ヲ握リ之ヲ垂下スルヲ例トス但シ抜剣シタルトキ又ハ左手ニテ物品ヲ携帯スル必要アルトキ其ノ他時宜ニ依リ其ノ上環ヲ剣帯ニ鉤スルコトヲ妨ケス

第十四条ノ二: 元帥佩刀ノ佩用ニ付テハ前二条ノ規定ヲ、軍刀ノ佩用ニ付テハ前条ノ規定ヲ準用ス

第十五条: 短剣ヲ佩用スルトキハ其ノ環ヲ剣帯ニ鉤シ剣柄ヲ後方ニ向ケシムヘシ

第十六条: 外套又ハマントハ寒気又ハ雨雪ノトキ室外ニ於テ之ヲ著用ス但シ儀式ノ際ニハ雨雪ノ場合ヲ除クノ外之ヲ著用スルコヲ得ス

第十七条: 削除

第十八条: 雨衣ハ雨雪ノトキ室外ニ於テ之ヲ著用ス
雨衣ノ第一種及第二種ハ之ヲ各別ニ著用スルコトヲ得

第十九条: 削除

第二十条: 下士官及兵ノ官職区別章ハ右肘ノ上部ニ、善行章ハ官職区別章ノ上部ニ、特技章ハ左臂ノ上部ニ之ヲ附著スヘシ

第二十一条: 当番外套ハ艦船部隊学校等ニ於テ下士官及兵当直勤務ノトキ之ヲ著用ス

第二十二条: 陸上ニ於テ儀仗衛兵勤務ニ服スルトキ又ハ行軍、演習等ヲ為ストキハ脚絆ヲ用フベシ此ノ場合ニ於テハ白色半靴ハ之ヲ用ヒザルヲ例トス
准士官以上、候補生、見習尉官及生徒ノ脚絆ハ黒色革製又ハ褐青羅紗製トシ下士官及兵ノ脚絆ハ褐青布製トス

第二十三条: 准士官以上候補生及見習尉官喪ニ丁リ出勤若ハ服務ノ遠慮中又ハ休務中ハ左腕ニ喪章トシテ幅三寸ノ黒紗ヲ纏フヘシ親族ノ葬儀ニ列スルトキ亦同シ

第二十四条: 戦時事変ノ際ハ軍装ニ長剣又ハ軍刀ヲ佩用スヘシ但シ海軍大臣ノ特ニ定メタル場合ハ此ノ限ニ在ラス

第二十五条: 生徒下士官及兵ノ「カラー」「シヤツ」「カフス」等ハ艦船部隊学校等ニ在リテハ儀式又ハ点検ノ場合ヲ除クノ外之ヲ著用セサルコトヲ得

第二十六条: 夏衣及外套ノ肩章ハ航海中ニ限リ之ヲ附セサルコトヲ得

第二十七条: 雨天又ハ悪路ノトキニハ准士官以上、候補生及見習尉官ハ軍装ニ黒色革製脚絆ヲ用ヰルコトヲ得

第二十八条

勲章記章及其ノ略綬（制服ニノミ佩用スルコトヲ得ルモノ）並徽章ノ佩用ハ左ノ各号ニ依ル

勲章及記章ハ略装ヲ除クノ外各種ノ服装ニ之ヲ佩用ス但シ場合ニ依リ軍装又ハ略装ニハ其ノ略綬ヲ佩用スルコトヲ得
頚飾又ハ大綬ヲ以テ佩フル勲章ハ正装又ハ礼装ニノミ之ヲ佩用シ其ノ他ノ服装ニハ其ノ副章又ハ略綬ヲ佩用ス
通常礼装又ハ軍装ニハ勲等ヲ表スル最上級ノ勲章及金鵄勲章又ハ其ノ一種（特ニ勲等ヲ表示スル必要アル場合ニハ勲等ヲ表スル最上級ノ勲章）ノミヲ佩用スルコトヲ得
功四級勲四等以下ノ勲章及記章ヲ佩用スルトキハ其ノ綬ノ上端ヲ肩頭下約一寸トシ二個以上ヲ佩用スル場合ニ於テハ一列ニ之ヲ併佩シ（佩用スヘキ勲章及記章ノ数多キトキハ之ヲ重複セシム）其ノ列ノ中央ヲ左胸部ノ中央ニ在ラシムヘシ
勅令ニ依リ制定セラレ特ニ海軍部内ノ者ノ佩用スル徽章ハ各種ノ服装ニ之ヲ佩用ス其ノ佩用ノ位置ハ上衣ノ右胸部乳下約二寸トシ二個以上ヲ佩用スル場合ニ於テハ一列ニ之ヲ併佩ス
一般勤務ノ場合ニ於ケル軍装ニハ勲章記章又ハ其ノ略綬ヲ、略装ニハ勲章記章ノ略綬ヲ佩用セサルヲ例トス

第三章　雑則

第二十九条: 本令中夏季トハ内地ニ於テハ六月一日ヨリ九月三十日迄ヲ謂フ但シ艦船航海中又ハ土地ノ状況等ニ依リ所在首席指揮官（東京ニ在リテハ海軍大臣）其ノ期間ヲ伸縮スルコトヲ得

第二十九条ノ二: 在郷ノ士官、特務士官及准士官ハ在郷軍人ノ資格ヲ以テ行動スル場合其ノ他其ノ身分ヲ表示スルヲ相当トスル事由アル場合ニ限リ制服ヲ著用スルコトヲ得

第二十九条ノ三

在郷ノ下士官及兵ハ左ノ場合ニ限リ制服ヲ著用スルコトヲ得

現役満期ト為リ又ハ帰休ヲ命ゼラレ帰郷スルトキ
召集ニ応ズルトキ又ハ召集解除ト為リ帰郷スルトキ
簡閲点呼ヲ受クルトキ
行幸、行啓等ニ際シ奉迎奉送スルトキ
観艦式、観兵式、進水式、演習等ヲ拝観スルトキ
賀儀葬祭ノトキ
其ノ他海軍大臣ノ特ニ指定スルトキ

第三十条: 一境域内ニ於ケル海軍軍人ノ服装ヲ斉一ニスルハ所在首席指揮官ノ任トス但シ東京ニ在リテハ海軍大臣、軍港要港ニ在リテハ当該鎮守府司令長官警備府司令長官又ハ防備隊司令官ノ任トス

第三十一条: 外国交際上其ノ他已ムコトヲ得サル事情アルトキハ海軍大臣又ハ所在首席指揮官ハ臨時服装ヲ指定スルコトヲ得本令ニ規定ナキ場合亦同シ

（大正３年２月２７日勅令第二十四号）

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その他資料

海軍服装令

第一章 服装ノ種類及各種服装ヲ用ウル場合

第二章 著装法

第三章 雑則

第一章　服装ノ種類及各種服装ヲ用ウル場合

第二章　著装法

第三章　雑則