海兵団令

第一条

海兵団ハ其ノ所在地ノ警備ヲ管スル鎮守府、警備府又ハ商港警備府ニ属シ補缺員（海軍航空隊、海軍練習航空隊、防備隊、海軍潜水艦基地隊及海軍通信隊ニ収容セラレタル者ヲ除ク）ヲ統轄ス

第二条

海兵団ノ所在地及名称左ノ如シ

横須賀軍港

横須賀海兵団

武山海兵団

静岡県浜名郡

浜名海兵団

呉軍港

呉海兵団

広島県佐伯郡

大竹海兵団

広島県賀茂郡安浦町

安浦海兵団

佐世保軍港

佐世保海兵団

長崎県佐世保市

相浦海兵団

長崎県東彼杵郡

針尾海兵団

舞鶴軍港

舞鶴海兵団

平海兵団

大阪市

大阪海兵団

大湊要港

大湊海兵団

鎮海要港

鎮海海兵団

高雄要港

高雄海兵団

第三条

海兵団ニハ必要ニ応ジ艦船ヲ附属ス

第四条

海兵団（鎮海及高雄要港ニ在ルモノヲ除ク）ハ艦船部隊其ノ他各部ヨリ補缺員トシテ入団スル海軍下士官及兵（第二項ニ定ムルモノヲ除ク）ヲ収容シ必要ニ応ジ之ヲ艦船部隊其ノ他各部定員ノ補缺ニ充ツ
鎮海及高雄要港ニ在ル海兵団ハ海軍特別志願兵出身ノ海軍下士官兵ヲ収容シ必要ニ応ジ之ヲ艦船部隊其ノ他各部定員ノ補缺ニ充ツ

第五条

海兵団ニ左ノ職員ヲ置ク

団長

副長

副官

内務長

軍医長

主計長

分隊長（兵科軍医科主計科軍楽科士官、各科特務士官）

団附

場合ニ依リ前項職員中其ノ一部ヲ置カズ

第六条

団長ハ鎮守府、警備府又ハ商港警備府ノ司令長官ニ隷シ部下ヲ統率訓練シ軍紀風紀ヲ維持シ団務ヲ総理ス

第七条

団長ハ必要ニ応ジ部下ノ職員ヲ附属艦船ニ起臥セシムルコトヲ得

第八条

団長ハ部下ノ職員ノ一部ヲ置カレザルトキ又ハ缺員中若ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハザルトキハ他ノ職員ヲシテ其ノ職務ヲ執行又ハ代理セシムルコトヲ得

第九条

団長缺員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ部下ノ将校軍令承行順序ニ従ヒ其ノ職務ヲ代理ス但シ鎮守府、警備府又ハ商港警備府ノ司令長官特ニ代理者ヲ置キタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ

第十条

副長ハ団長ヲ輔佐シ団務ヲ整理シ団員ノ服務ヲ監督ス

第十条ノ二

副官ハ団長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス

第十一条

内務長ハ団長ノ命ヲ承ケ内務科員ヲ監督シ戦闘ニ当リ其ノ指揮ヲ執リ内務、工作、機関及潜水ニ関スルコトヲ担任シ之ガ教育訓練ヲ掌リ主管ノ諸物件ヲ整備ス

第十二条

軍医長ハ団長ノ命ヲ承ケ医務科員ヲ監督シ戦闘ニ当リ其ノ指揮ヲ執リ医務衛生ニ関スルコトヲ担任シ之ガ教育訓練ヲ掌リ主管ノ諸物件ヲ整備ス

第十三条

主計長ハ団長ノ命ヲ承ケ主計科員ヲ監督シ戦闘ニ当リ其ノ指揮ヲ執リ会計給与及厨業ニ関スルコトヲ担任シ之ガ教育訓練ヲ掌リ主管ノ諸物件ヲ整備ス

第十四条

兵科分隊長ハ団長ノ命ヲ承ケ団長指定ノ分隊ヲ指揮統御シ諸部署一部ノ長ト為リ軍紀風紀ヲ維持シ隊員ノ教育及人事ヲ掌理シ主管又ハ分担ノ諸物件ヲ整備ス
前項ノ外兵科分隊長ハ其ノ配属ニ依リ内務長ノ命ヲ承ケ服務ス

第十五条

削除

第十六条

軍医科分隊長ハ団長ノ命ヲ承ケ医務分隊ヲ指揮統御シ諸部署一部ノ長ト為リ軍紀風紀ヲ維持シ隊員ノ教育及人事ヲ掌理シ分担ノ諸物件ヲ整備ス
前項ノ外軍医科分隊長ハ軍医長ノ命ヲ承ケ服務ス

第十七条

主計科分隊長ハ団長ノ命ヲ承ケ主計分隊ヲ指揮統御シ諸部署一部ノ長ト為リ軍紀風紀ヲ維持シ隊員ノ教育及人事ヲ掌理シ分担ノ諸物件ヲ整備ス
前項ノ外主計科分隊長ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス

第十七条ノ二

軍楽科分隊長ハ団長ノ命ヲ承ケ軍楽分隊ヲ指揮統御シ諸部署一部ノ長ト為リ軍紀風紀ヲ維持シ隊員ノ教育及人事ヲ掌理シ分担ノ諸物件ヲ整備ス

第二十三条

第十八条及前三条ニ規定スル者ヲ除クノ外団附ハ上官ノ命ヲ承ケ服務ス

第二十四条

海兵団職員服務ノ細項ニ関シテハ海軍大臣之ヲ定ム

（大正９年６月２４日軍令海第二号）